君の未来に、僕はいない
言葉にすると、その二文字になってしまうけど、俺が伝えたいのはそんな浅いものじゃなくて、と彼はそのあとつけ足していた。
私と同じようなことを考えている葵に、思わず笑ってしまった。
私も語彙力が足りないから、とてもじゃないけれど葵への想いを言葉なんかじゃ伝えきれない。
だから、少し背伸びをして、自ら葵にキスをした。

どんなに辛い過去も、困難な未来も、全部一緒に愛していこう。
過去も未来も、今の自分をつくるすべてだから。そんな思いを込めて、キスをした。


驚いて目を丸くしている葵に、私は無邪気に問いかける。

「このことも予知してた?」
「……知らないのか。俺は未来が見えるんだよ」

そう言った彼の手は震えていて、彼がこのことまで予知できていなかったことは、すぐに分かった。
強がっている彼の瞳には涙が溜まっていて、その涙が、この二年間が私達二人にとってどんなに辛い時間だったか、語っているような気がした。

なんだかそれを見たら、切なくてどうしようもなくなって、
私は、もう二度と離れない様に、彼の手をきつく握りしめたのだ。

そして、強く強く願った。
私の未来に、君がいますように、と。

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