鏡花水月
紫苑
ここを左に曲がったらダッシュ



ランドセルの肩紐をぐっと握り一呼吸



右足を1歩だし、左足で地面を蹴った



近づいてくる神社、正確には近づいているのは私だが



参拝者もいなそうな古びた神社は小学生の私にはひどく怖いものだった



ちょうど神社の鳥居の正面に差し掛かった時だった




「まて、子供」




声が聞こえ思わず足を止め神社の方を向いた




「青ざめた顔をしているね」




そこには、雪のように肌が白く、着物を着た男性が腕を組んで鳥居に寄りかかっていた




「あ、あの」




(知らない人に話しかけちゃダメよ)




お母さんの言葉が頭をよぎった



(大きな声を出すのよ)




私は叫びながら再び走り出した



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