イジワル部長と仮りそめ恋人契約
突然話に入り込んで来た第三者の声に驚き、椅子に座ったままぐりんと後ろを振り向いた。
そこに立っていたのは、綺麗な猫目をきょとんと瞬かせる先輩・嵐さん。
「えー嵐さん! なんですかその話!」
「私はたまたまお店の前通りかかっただけなんだけど……仕事終わってから、あそこの窓際の席で一之瀬さん男の人ふたりと一緒にいたよね。ふたりとも整った顔してたし、目立ってたから覚えてるよ」
それは……! まさに私と悠悟さんが結託して、お兄ちゃんを騙そうとしていた現場じゃないでしょうか……!
それをまさか、同じ課の人に見られてしまっていたなんて。ますます弁解が厳しく……。
「ちょっと志桜さーん! 私そんなの聞いてませんよっ!」
「うーん……なんというか、あの人たちは……」
嵐さんの補足を聞いた真子ちゃんが、さらにぐいぐい詰め寄って来た。
ああこのコ、こういう系の話題大好きだからなあ……ど、どうやってやり過ごすべきか……。
思いっきり目を泳がせながら、なんとかこの場を切り抜ける方法を考えていると。
「えーなになに、一之瀬さんの恋バナ? あたしすっごい興味あるわー」
ここでまさかの、イケメンなくせにおネエというキャラが立ちすぎな海老原さんまで登場してきた。こうなったらもう収拾不可能だ。
まさか、本当のことなど言えるわけがない。矢継ぎ早に質問攻めされながら、私はなんとか「あれは兄とその友達です!」とだけ答え、それ以上は黙秘を貫いてなんとか金曜日の仕事を終わらせたのだった。
そこに立っていたのは、綺麗な猫目をきょとんと瞬かせる先輩・嵐さん。
「えー嵐さん! なんですかその話!」
「私はたまたまお店の前通りかかっただけなんだけど……仕事終わってから、あそこの窓際の席で一之瀬さん男の人ふたりと一緒にいたよね。ふたりとも整った顔してたし、目立ってたから覚えてるよ」
それは……! まさに私と悠悟さんが結託して、お兄ちゃんを騙そうとしていた現場じゃないでしょうか……!
それをまさか、同じ課の人に見られてしまっていたなんて。ますます弁解が厳しく……。
「ちょっと志桜さーん! 私そんなの聞いてませんよっ!」
「うーん……なんというか、あの人たちは……」
嵐さんの補足を聞いた真子ちゃんが、さらにぐいぐい詰め寄って来た。
ああこのコ、こういう系の話題大好きだからなあ……ど、どうやってやり過ごすべきか……。
思いっきり目を泳がせながら、なんとかこの場を切り抜ける方法を考えていると。
「えーなになに、一之瀬さんの恋バナ? あたしすっごい興味あるわー」
ここでまさかの、イケメンなくせにおネエというキャラが立ちすぎな海老原さんまで登場してきた。こうなったらもう収拾不可能だ。
まさか、本当のことなど言えるわけがない。矢継ぎ早に質問攻めされながら、私はなんとか「あれは兄とその友達です!」とだけ答え、それ以上は黙秘を貫いてなんとか金曜日の仕事を終わらせたのだった。