好きの海に溺れそう
~海琉~

杏光が修学旅行から帰ってきた。



隣から帰ってきた声がしたから、家のドアを開けたら、大量の荷物を抱えた杏光が自分の家に入ろうとしてた。



「海琉!!」



俺を見た杏光は物凄く嬉しそうな顔。



ああ…この笑顔、久しぶりだ…。



荷物をその場に置いて、俺に抱きついた。



開いてる杏光の家のドアから、杏香さんがニコニコと見てる…。



嬉しいけど気まずい…。



杏光をとりあえず離し、杏光の荷物を手伝って部屋の中に運んだ。



「あらためて、誕生日おめでと~!」



杏光が両手をぱっと広げて祝ってくれる。



「ありがとう~そして杏光おかえり!」



そう言ったら、また抱きつかれた。



今度は部屋で誰も見てないから俺も抱きしめ返す。



身体を離すと、笑顔の杏光。



「会いたかった?」



そう言われたので、黙ってゆっくりうなずいた。



付き合ってから毎日顔合わせてたのにこの期間は声だけだったから、会いたい気持ちばっかりだったよ…。



「じゃあチューしましょうね~!」



杏光が楽しそうに言って俺の顔を両手で挟んだ。



そのままじっと見つめられる。



自分の身体を乗り出して、俺から杏光にキスした。



「えっ…」

「なに動揺してんの…」



キスしたいの、俺だって同じだよ…。



顔が赤いの、絶対にバレてて二重に恥ずかしい。



「海琉!もっかい!」



杏光がせがむように俺の腕を掴んだ。



もう恥ずかしいからしないよ!



「お願いだよ~」

「うるさいうるさい」



それでもうるさい杏光を黙らせるように、おでこに一瞬だけキスした。



恥ずかしい恥ずかしい…。
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