好きの海に溺れそう
それをごまかすように、杏光の荷ほどきを手伝った。



ルンルンしてる杏光を横目に、ガイドブックとか、そういう棚にしまうような物を仕分けてく。



ん?なんだろこれ。



杏光のカバンから出てきた、何かの包み。



「杏光、これなに?」

「ん?…ってあーっ!これはだめ!」



顔が一気に青ざめて、俺の手からすごい勢いでそれを奪い返した杏光。



怪しい…。



「なんなの?」

「いやいや…。た、ただの下着」



明らかに嘘ついてる顔してる上に、杏光が下着でこんなに慌てるわけない。



まあ杏光が俺に変な隠し事するとも思えないから多分たいしたものじゃないと思うけど…。



「あっ!そ、そういえば日夏が海琉に誕生日おめでとうって言ってたよ!」

「…ありがと」



明らかにごまかしてる杏光。



いいや、追求しないでおこう…。



「海琉、手出して」

「ん?はい」



杏光に言われるがまま、手を出すと、その上に白い縦長の箱が置かれた。



なんだろ。



「お土産!開けてみて」



箱を開けると、透明感のある水色の綺麗なガラスのコップ。



琉球ガラスっていうんだっけ?



お土産屋さんとかで買ったのかな。



「あたしが海琉のイメージで作ったの!」

「これ手作りなの!?」



すごいな…。



しかも、俺イメージ…?



さっきまでの慌てぶりとはうって変わって、嬉しそうな顔で俺のことを見てる杏光が物凄く可愛い。



愛おしいって、こういう感情だ…。



「ありがとね、杏光」

「いいえ!今すごいあたしのこと好きだと思ったでしょ」

「…」
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