好きの海に溺れそう
杏光はなんでも見透かしてくる。



俺の顔を覗くようにニヤニヤと見てくる杏光から顔をそらすと、頬にキスされた。



もう!!



俺の抵抗も虚しく…というか、抵抗なんてほとんどしてないけど…顔を杏光に掴まれる。



そこからしばらく、ずっとキス…。



気づけば杏光に押し倒される形になってる俺…。



「ちょっと待って杏光…アレがない…」

「あるには…ある、けど…」



あるの!?



じゃあ…いいの、か、な…?



当然、俺は初めてなわけで…。



この前もこんなことになって、ちょっとまずいと思って新太に色々…本当に色々聞いて、手順は…多分大丈夫だけど。



そういう行為がしたいんじゃなくて、杏光と、一番深く繋がれる手段だと思うから。



したいって気持ちはある。



でも恥ずかしくて恥ずかしくて俺はまともでいられるのかな…?



そんなこと頭でぐるぐる考えてるうちにも、キスは続く。



覚悟決めよう…。



と思った瞬間、部屋がノックされた。



「ごはん出来たよー!」



杏香さんの声。



杏光と目が合った。



同時に吹き出す。



「またこのパターン?」



前回もおんなじ状況だったのに反省できてない俺たち…。



杏香さんいるの、すっかり忘れてた…。



お互い笑いながら、リビングに行った。



そのまま杏光の家でご飯を食べて、なぜかお風呂まで杏光の家で入って、杏光の家に流れで泊まることになった。



「海琉くん…どこで寝る?」



杏香さんが布団を出して俺に聞く。



小さいときは、リビングで悠麗と杏光、玖麗の四人で寝たりしてた。



もう少し大きくなってからは、悠麗の部屋だったり、杏光が杏香さんの部屋で寝て杏光の部屋で泊まらせてもらったりしてたけど、付き合ってから初めて杏光の家に泊まる…。



どうすべき…?



俺がなんて言えばいいか迷っていたら、杏光が代わりに答えた。
< 112 / 350 >

この作品をシェア

pagetop