好きの海に溺れそう
ハサミで袋を開けながら、新太に聞く杏光。



確かにそれもそうだよね。



俺と杏光、ほとんど知らないことはないけど、お互いクラスでどういう感じなのかとか、知る機会がなかった。



新太、変なこと言わないでよ…?



「学校の海琉ですか?うーん、真面目ですよ。授業もちゃんと聞いてるし」

「授業ちゃんと聞いてそうだよね、海琉って」

「なのに成績悪いから不思議っすよね~。隣だから点数とか見えるんすけど」

「わかるわかる!なんでだろうね」



俺の成績の悪さで盛り上がってる二人。



どうせ勉強できないですよ…。



「女の子とかとは?喋ってる?」

「女子は…まあ人並み程度っすかね?」

「なるほどね~」



なるほどってなに!?



怖がっていいのか安心していいのか…。



杏光の顔色を見ても、ただ笑いながらうなずいてるだけで何考えてるのかよくわからない。



それからも杏光はいくつか学校生活での俺について色々と尋ねてた。



新太はそのまま夜ご飯まで食べて行くと言い出した。



図々しすぎ!



さすがに杏香さんに申し訳なくて、杏光は家に残したまま、俺の家でごはんを出した。



珍しく家に友達を呼んだから親たちは嬉しそうにしてる。



「ごちそうさまでした!」

「また来てね~」



俺の親に頭を下げてからやっと帰った新太。



ふう…。



まあでも、たまにはこういうのもありかな?



寝る準備を終わらせて、布団の中に入って杏光に電話をかけた。



《もしもーし》

「今なにしてた?」

《んー、寝ようと思ってたとこ。海琉は?》

「同じ~」

《へへ》



まるで付き合いたてみたいな会話…。



こういう些細なことでも幸せだ。
< 116 / 350 >

この作品をシェア

pagetop