好きの海に溺れそう
ひまわり咲いた
~海琉~

「で、いつ行く?」



ある寒い11月の今日。



俺の家に杏光が来ている。



杏光が、沖縄で俺にくれたコップに麦茶を入れながら聞いた。



「一月入ると慌ただしいし、大晦日入る前の冬休みがいいんじゃない?」

「あたしイブとクリスマスで行きたい」



なんの話をしているかというと、いつ旅行に行くかという話。



二人だけで旅行に行きたいと話したはいいものの、詳しいことを全く決めていなかった。



杏光がお茶を飲みつつ俺の前に座る。



「イブは学校あるじゃん」



杏光から一口お茶をもらって飲んでから返事をする俺。



杏光にコップを返す。



「集会だけでしょ。そのあと行こうよ。25からは冬休みだし」

「どうせなら朝から一緒にいたいよ」

「イブの夜は絶対海琉と二人で過ごしたいしクリスマスデートだってしたいの!」

「学校のあとだったらゆっくりできないし第一予約も取りづらいでしょ」

「イブがいい…」

「じゃあもっと早く言ってよ。杏光ワガママ」



若干いらついてるのを感じる…。



俺だって杏光と一緒にいたい気持ちはおんなじだ。



だから、せっかく旅行するなら学校のあとにバタバタするよりも朝からゆっくり一緒に過ごす方がいいって思うのに。



これって喧嘩?



でも多分杏光も譲らないだろうな、そういう性格だから。



「あたしワガママなんて滅多に言わないじゃん」

「そういう問題じゃない!」



二人の間に流れる空気が険悪…。



そのとき、杏光のスマホにメッセージの通知音。



スマホを開いてなにかやりとりしてる。



俺は無視なの?



「じゃあ行きたくないようなホテルとか評判悪いホテルとかになってもいいんだね」



俺がスマホを見てる杏光に言う。



「だから、イブがいいって言ってるでしょ。あたしのこの特別感、海琉は何にもわかってない」



杏光が俺にそう言い放って、家から出てった。
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