好きの海に溺れそう
「だから彼女じゃないって…」

「あれで付き合ってないってまじでおかしいから」




杏光と付き合うのはさすがにあり得ない。




ほぼ家族だから、そんなこと考えたこともないし…。




「ただの幼なじみだよ」

「あんな美人な幼なじみいたら誰だって好きになるだろ…俺に紹介して?」

「残念ながら杏光は彼氏います~」




杏光は俺と違って恋愛経験が豊富だしすごいモテる。




小学校のときから、「あの子が好き!」って言ったと思ったら数ヶ月後には別の子が好きになるような子供だった。




彼氏も歴代何人か…5人か6人くらい?いた気がする。




一度好きだと思ったらすぐ行動するタイプな上にモテるからすぐ彼氏が出来るけど、別れるのも早い。




そのたびにすぐ俺に報告してきたわけだけど。




とにかく、俺と杏光は正反対。




なんでこんなに仲良いのか不思議なくらい。




悠麗とも玖麗とも杏光と同じだけの時間を過ごしてきたし二人とももちろんすごく仲が良いけど、昔から悠麗と玖麗、俺と杏光で1セットだった。




だから俺も、何か相談するときは悠麗や玖麗よりも杏光に言うことが多くて…。




俺と杏光の間には多分、知らないことがなくて、お互いなんでも知ってる。




その後もしつこく杏光について聞いてくる新太をかわしながら、その日はなんとか田中さんともいつも通り過ごすことができた。
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