好きの海に溺れそう
~杏光~

海琉大丈夫かな…・。



授業中も海琉が気になった。



あいつは、その後ちゃんとその女の子と話せてるだろうか。



「心配だぁー…」

「なにが」



休み時間、友達の日夏が紙パックのレモンジュースを飲みながらあたしの席に来た。



日夏は、いつも食べるか飲むかしている。



「幼なじみがピンチだよ、日夏~」

「ああ、海琉くん? どこがどうピンチなの」

「恋のこと~」



まあ海琉にもプライバシーってものがありますので詳しくは言わないけど。



「そんな心配することじゃないでしょ、海琉くんもモテんだから」

「年上にね」



日夏はジュースをストローで吸いながら呑気に言ってる。



まあいいや。気にすることじゃないか…。



「ねえ杏光、それよりさあ、今日あたしとデートせん?」

「あー…ごめん今日彼氏とデートの日だ」

「まだ続いてたの?」

「まあね…。別れる理由も特にないし」



「ふ~ん」と言った日夏は、つまらなそうにまたストローでジュースを吸った。



放課後になり、彼氏と待ち合せの駅に行く。



彼氏は別の学校だ。



友達に紹介された彼氏とは付き合ってもうすぐ一年になる。



顔がいいからまだ付き合ってるけど、実際はもう冷めてしまっている。



よくこんなにずるずると続いたかと自分でも驚く。



駅に着くと彼はもう来てた。



小走りで近づく。



「ごめん、ホームルーム長引いた」

「ん~。じゃあ行こ」



手はいつしかつながなくなった。



前はあたしからつないでたのにな…。



今は、隣に並んで歩くだけ。
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