好きの海に溺れそう
だけど時間には終わりがくるもので。



ゆっくりゆっくり、帰路に着いた。



「ただいまー!」



海琉と一緒にあたしの家に帰った。



「おー、おかえり」



ん? この声は…。



玄関からリビングに入った。



「お父さん!」

「おー杏光久しぶりだな! お前ちょっと大人っぽくなったんじゃね?」



なんと、めちゃくちゃ久しぶりに会う父親がリビングのソファにどっかり座ってた。



無精髭といかつい顔っていう見た目のやばい人感が全く変わってない。



「クリスマスに合わせて帰ってきてくれたの~」



お母さんが台所から呑気に言ってくる。



「おっ海琉じゃねえか」



あたしの後ろから入って来た海琉を見てお父さんが立ち上がった。



そして海琉に近づく。



「小太郎くん…久しぶり」

「お前俺の娘に手出したらしいな」



いや確かに昨日がっつり手出されたけど…。



お父さんは海琉の正面に立って海琉をじっと見る。



身長180cmを越すお父さんが、あの顔で海琉の正面から海琉をそんな風に見ると、ほんとにヤクザが中学生を脅してるみたいでやばい。



海琉がんばれ…。



「半端なことしたらまじキレっからな」



そう言ってお父さんが海琉に手を伸ばした。



は!? まさか殴る気!?



「ちょっ…」



あたしが止めようとした瞬間。



「お前でっかくなったなあ!!」



お父さんは海琉の頭をぐしゃぐしゃに撫でた。



顔がめちゃくちゃニコニコしてる。



「ちょっ…小太郎くん…なに…!」

「嬉しいんだよ、可愛い娘と息子がデキてるとか」

「…」



なんなんだこの親父は…。
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