好きの海に溺れそう
「あの」

「あ? なんだよガキ」

「杏光と一緒に…ふ、ろ、とか入る気…ないんで」



ちょっと海琉!



まあ海琉ならそう言うってことはわかってましたけど…。



それを聞いたお父さんはガハハと笑い出した。



ふっざけんなまじで…。



「残念だったな杏光! 海琉! お前見直したぞ! さすが俺の息子!」

「あんたの息子じゃない! もううっさいから早く出てって!」

「じゃあな~」



お父さんが出てったあとすぐに部屋のドアを閉めた。



「そんなに一緒いや?」

「い、嫌っていうか…」

「じゃあなんなの?」



あたしは海琉の首に両腕を回した。



海琉の目が明らかに泳いでる。



久しぶりのこういう反応で楽しい。



「じゃあチューでいいや」



あたしはそう言って少し背伸びで海琉に顔を近づけた。



海琉の泳いでる目が見えない距離まで近づいて、唇に触れようとしたとき、お風呂のドアが開いた。



タオルを首からかけて上半身裸の悠麗があたしたちを見てぎょっとした顔をする。



「なにお前ら…。キモいから別んとこでそういうことしてくれない?」



親子そろってなんなの!



度々の他人の乱入で海琉は恥ずかしいだろうし申し訳ないけど…。



嫌になってしまったあたしは、逃げるように海琉たちの部屋から出て自分の部屋に戻った。



玖麗はお風呂に入ってる。



玖麗があがってからあたしもお風呂に入って、親の男子部屋にみんなで向かった。



夜ご飯です。



出てきた料理は海鮮! 舟盛り! 最高!



だけど一緒に置いてあるお酒の数々…。



お酒が苦手な玖麗のお母さんの実咲ちゃんと海琉のお父さんの霜さん以外親たちが無尽蔵に飲んでる…。



お酒臭いんですけど…。



「お前ら全員高校生なったんだろ? こういう時くらい飲んでいいぞー」



そう言って小太郎があたしたちのコップにお酒を注いでくる。



バカなの?
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