好きの海に溺れそう
冬だし…。



恥ずかしい…。



「そんな顔したらあたし達が何したかバレちゃうじゃん」



杏光がいたずらっぽく俺に耳を寄せた。



そんなこと言われても表情隠すの苦手なんだもん…。



「まあそんな顔してなくてもバレるけど…」



杏光がぼそっと言った。



ですよね!!



「あっほら小太郎。チョコあるよ冷蔵庫に。半分は悠麗のだからもう半分あげる。お母さんにも」



杏光が言うと、嬉しそうにキッチンに行く小太郎くん。



「まじで?杏光が作ったのか?」

「ほぼ海琉」

「海琉!お前やるなあ!」



小太郎くんの嬉しそうな声がキッチンから聞こえる。



「料理のできる嫁はいつでも大歓迎だぞ~。早く嫁来いよ海琉」

「小太郎くん…嬉しいけど俺、嫁じゃない…」

「あ~?婿だろうが嫁だろうが同じだろ」



ははは…。



「まあ海琉の場合嫁感あることは認める」



杏光が言った。



もうなんとでも言って…。



「海琉くん、ごはん食べてくでしょ?」



杏香さんが荷物を置きに入った自分の部屋からリビングに入ってきて聞いてくれる。



「あ、うん。ありがとう杏香さん」

「雛子さんに連絡しといてね」

「はーい」



杏光と部屋に入ってベッドに座る。



今度はさっきと逆で、膝立ちしながら杏光が後ろから俺を抱きしめた。



抱きしめながら、杏光が俺のスマホでお母さんに電話をかける。



《はーい?》



お母さんの声がスマホから漏れ聞こえる。



「あっ杏光です。今日海琉、あたしの家でごはん食べるね」

《はーい。 あっそうだあたし、作りすぎちゃったおかずあるから今からそっち持ってくね》

「え? うん、わかった! ありがとう」



杏光が電話を切った。
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