好きの海に溺れそう
英語はそんなに苦手じゃないからさっさと終わらせよう。



「えーっと、ここは仮定法だから…訳すと『彼が勉強できればよかったのに』」



うんうん、わかるよ。



次。



「えーっと…『私には彼氏がいるが、その彼氏はあまり頭がよくない』」



共感!



次!



「『彼がその試験に合格すれば、私は喜んでいたのに』切な~い!」

「杏光うるさい!」



英語の問題文があまりにも共感できるから、感心してたら海琉に怒られてしまった。



「ごめん」

「いーよ…勉強すればいいんでしょ勉強すれば」



すねてる…かわいい!



ぎゅっと抱き着きたいのをこらえた。あたしが海琉の勉強の邪魔してどうすんの!



我慢してお互い真剣に勉強をすすめた。



うん、いつもより集中できてる気がする!



「えっもうこんな時間?」



時計を見ると13時。



途中ちょっとの休憩はさんだりはしたけど2、3時間くらい集中できた。



「おなかすいた~」

「なんか食べよっか」

「うん!」



海琉とリビングまで出てきた。誰もいない。



「パスタ食べる?」



海琉がキッチンで食材を見ながらあたしに聞く。



「食べる~!」



あたしも海琉のそばに寄った。



さっきから我慢してたから、もういいよね?



後ろから抱き着いた。



「いっつもご飯とか作ってくれてありがとね?」



抱き着きながら海琉の顔を覗き込んだ。



ちょっと照れてる。



「なに…急に。いつものことでしょ?」

「それをいつものことにしてくれてる海琉が素敵だなーって」



にこっと笑ったら海琉がくるっとこっちに振り向いた。



なんだろう…?
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