好きの海に溺れそう
そう思ったら、あたしを一瞬ぎゅっと抱きしめた。



「そういう風に言ってくれる杏光が好き…」

「えへへ」



きゅん!



海琉の頭によしよしした。



海琉は褒められた犬みたいにニコニコしてる。お手って言ったら手に前足でも乗せてくれそうな感じ。



「あたしも手伝う~!」

「じゃあキャベツ洗って切って~」

「わかった!」



そんな海琉の隣でキャベツを切る平日の昼間。



平和でいいな…。



「できた!」



キャベツとベーコンのパスタを、テレビを見ながら2人で食べた。



その調子で午後もテスト勉強を頑張ったあたしたち。



テスト、無事平均点で乗り切りました…。



「海琉~!!全教科赤点回避おめでと~!!」



海琉も赤点回避。



同時にホワイトデーもさらっと済ませ、あたしの誕生日です。



今年の誕生日は日曜日。



海琉が色々考えてくれて、今回は雰囲気を変えて恋人らしく、駅で待ち合わせをすることにした。



って言っても家が隣だから出る時間がかぶってしまうと思ったので、海琉がちょっとだけ早く家を出てくれる。



実は0時になるときに海琉が家まで直接来て祝ってくれた。



本当ならそのまま泊まってほしかったけど、このために1回帰ってもらったんだ。



あたしはおしゃれをします。



この日のために買ったワンピース。落ち着いた色で綺麗め。



それから気合を入れたアイシャドウ! リップは落ち着いた色で今日は大人の女風にした。



時計を見るとまだ20分くらいあったから、暇なあたしは手紙を書くことにした。



特別なことは書かずに、好きだよ、とか、海琉の似顔絵とか、そんなこと。



かわいく仕上がったところで時間になった。



ドキドキしながら家を出る。



初デートでもないのになんかドキドキする…。やっぱりいつもとちょっと違うから…。



海琉とこんな風に恋人っぽく待ち合わせしてデートするなんて初めてだ。



駅に行くと、人ごみのなかでひときわキラキラ輝いている海琉がいた。



キラキラって見えるんだ…。
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