好きの海に溺れそう
色々とおいしそうだけどあたしたちはもうお腹いっぱいで何も食べられそうにないよ…。



手をつなぎながらその通りをゆっくりと歩いた。



橋を渡ったりしてしばらく海沿いを歩く。



その歩みもゆっくりで、時間の流れが贅沢だ。



「海~!!」



着いた海岸は広々としている。



冬だから誰もいなくて、たまに犬の散歩の人が通るのと、海の遠くのほうにサーファーが見えるくらい。



「海琉、ちょっとこっち来て」



あたしは周りを見渡しながら、人の死角になるところに移動して海琉を呼んだ。



不思議そうな顔をして近づいてきた海琉を思いっきり抱きしめる。



「ぎゅ~~!!」



そう言ってから顔をあげたら一瞬驚いた顔をした海琉。



一瞬顔が赤くなってから、「ぎゅ~~!!」と言ってあたしを抱きしめ返した。



胸がはちきれそうになるくらい好き…。



「へへっ」と笑って海琉の方を見たら、海琉の顔が近づいてきた。



海琉からチューされるなんて滅多にないからあたしは動揺。



ぎゅっと目を閉じた。



でもチューされたのはおでこで…。



「超不満…」



そう言って目を開けたら夕日みたいな顔をした海琉がいた。



「人に見られてたから…ごめん」

「えっ?」



視線を横にしたら、近くに犬の散歩をしたおばさんがいた。



あらら…。



「恥ずかし!」



そう言って2人で笑った。



手をつないで足元のふらつく海岸を歩く。



波打ち際まで行ってあたしはしゃがんだ。



『海琉❤杏光』と、小学生みたいな相合傘を指で書く。



でもすぐに波で消されてしまった。



「縁起悪いからもう一回書いて写真撮る」



あたしがそう言ってもう一回書き始めたら、立ってた海琉もあたしの隣にしゃがんだ。



あたしはスマホを撮りだして一枚。またすぐに波で消される。



「海琉こっち見てー」



海琉ともツーショット。ニコニコしてる海琉がかわいい。
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