好きの海に溺れそう
「見せてー」



そういう海琉にスマホを渡して今撮った写真を見せてあげる。



あたしは写真を見てる海琉の横顔を眺めてる。



綺麗な肌…。



思わずほっぺにチュー。



その瞬間カメラのシャッター音が鳴る。



「えっ?」

「えっ?」



海琉が自分でもツーショットを撮ろうとしたタイミングで私がチューしちゃったみたいだ…。



見てみた写真は、カメラ目線の海琉に見事にあたしが海琉のほっぺにチューしちゃってる。



でもなんだかおかしくて、2人で爆笑した。



「これ人に見られたら本当にバカップルだと思われるね」

「あえてLINEのアイコンにする?」



くだらない冗談でも真剣に笑っちゃう。



「あっ海琉、あっち見て!」

「え? なに?」



海琉がそう言って横を見た瞬間にあたしはまたほっぺにチューしてシャッターを切る。



今度はわざと!



「何やってんの杏光」

「バカップルやってんの~」



大好きな時間。大好きすぎて、「今、あたしこんなに大好きな時間を過ごしてるんです!」って大声で人に教えたいくらい。



だからアイコンにするのもいいかな?なんてちょっと本気で思ったり…。



しないけど…。



「夕日が沈むよ」



海琉が言った。



あたしと海琉は波打ち際から少し離れて砂浜の上に腰掛ける。



海琉の肩の上にもたれた。



こんなロマンチックなデートもたまにはいいな。



「海琉は海の青が似合うね」

「なにそれ…」

「海琉って海の青って意味でしょ? 名前つけた雛子さんと霜さんすごいよ。海の青みたいだもん」

「杏光」

「ん?」



あたしに呼び掛けてまっすぐあたしを見る海琉の顔が赤いのは夕日の反射か海琉の顔の赤さか…。
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