好きの海に溺れそう
ますます訳がわからない…。



俺と杏光の関係が好きってことだよね…なんで?



「すごく仲の良かった幼なじみがお互いに恋して付き合うなんてすごく素敵じゃないですか!?」



そうなのかな…。



目の前でこうして言われると、なんかすごく恥ずかしい…。



「2人のファンは割といると思いますよ~。割と2人、校内で有名です」

「有名!?」



初耳すぎる言葉に、2人で驚いてしまった。



有名ってどういうことなの!?



「とにかく、2人が一緒にいる委員会入れてよかったです!じゃんけんに負けて嫌々だったんですけど当たりだ~!」



…。



なんだか言葉が見つからない。



学校で広く知られてるの、恥ずかしいよちょっと…。



まあでも俺たちがそれだけ仲いいってこと…?



だとしたらまあ…嬉しい…かも?



「そういえば海琉、今日バイトあるんじゃないの?」

「そうなんだよ~。急だからびっくりしたけど松尾さんに代わりお願いした」



松尾さんの名前を出すのはさすがにちょっと気が引けて、伏し目がちに杏光をちらっと見た。



でも、杏光は俺のそんな気持ちなんてお見通しみたいな雰囲気。



「そっかそっか。じゃあ今日は一緒に家まで帰れるね」



余裕そうにそう言った。



そのとき先生が教室に入ってきた。俺のクラスの担任の先生だ。



まだ若い男の先生で、雰囲気が優しい。



今日の委員会は、実行委員のすることと、係決め。



実行委員が何をするかというと、生徒への教室貸し出しとか備品管理、来場者の管理や広報、当日の各種イベントの運営らしい。



それから、実行委員主催のステージ企画と運営。



みんな当日あんまり遊べなくなることを心配して面倒くさそうなことはやりたがらないけど、俺は杏光と一緒だからなんでもいいかな?



そう思って特に役職の希望を特に伝えなかったら、杏光と一緒に実行委員主催のステージを運営するステージ係になった。



企画は委員全体で考えるけど、主体となって運営をしないといけないらしい。



「がんばろうね?」



隣にいる杏光が俺に言ったので、返事の代わりににっこりと笑った。
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