好きの海に溺れそう
「あたしたち、運営しないといけないから無理だよ」

「でも、実際始まったらやることって音響とか照明の裏方ですよね?それなら他の実行委員にもできるし、今からカップル探したり企画変更するより現実的じゃないですか?」



神奈ちゃんが言ってから、ぼそっと「それに、2人が出演しているところ見たいし…」とつぶやいた。



うん、今のは聞かなかったことにして…。



「それはそうかもしれないけど…」

「ですよね? ぜひ出てください!」



海琉の方を見ると、海琉も困惑顔。



だけど、確かに仕方ないしこれが最善…?



「海琉、どうする…?」

「杏光が出るなら…出るよ」



じゃあやりますか…。



結局、あたしたちが臨時で出ることになった。



ダメ元で日夏にも出てくれるか頼んで見たところ、人前に出るのは嫌だということでやっぱり断られてしまった。



そりゃそうだよね…。



どうしよう…。



そのとき、あたしのスマホに着信が入った。



見ると、玖麗から。



「もしもし?」

《あ、杏光?今日って何時に行けばいい?》



玖麗は今日悠麗と一緒に来てくれるって言ってた。



ん、ちょっと待てよ…?



「玖麗!今日、悠麗も来るよね?」

《そのつもりだよ~》

「一生のお願い!!私たちが運営する今日のイベント出てください!!」

《え、ん…え?》



状況を飲み込めない玖麗に、事情を説明する。



《さ、すがに…それは無理だよ、付き合ってないし……》

「多分、変な問題とかは出ないと思うし…もう本当に玖麗たち以外頼める人がいない…」

《でも…無…理です、ごめんね》



ですよね…。



仕方ないか…。



もう1回日夏にお願いしてみよう…。
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