好きの海に溺れそう
「あたし達、行こうと思えばどこでも行けるじゃん?」

「もしかして、俺と同じこと考えてる?」

「多分そう!これ、悠麗と玖麗にあげない?」

「賛成です!」



決まり~!



今回一番頑張ったのは玖麗だと思う。



距離を縮めるために出るって決心してくれて…。



だからお礼として、これをきっかけに進展してくれたらいいな…。



次の日は、朝から受付の仕事。実行委員なだけあって忙しいです。



テントの中に座って来場者にパンフレットを渡したりスリッパを渡す仕事をしてる。



海琉は今はクラスの方で働いてるから、別の実行委員の子と一緒だ。



そこに、玖麗が1人やってきた。



「あ、杏光!来たよー」

「玖麗ありがとう~!あれ、悠麗は?昨日来るって言ってたけど…」

「ああ、悠麗はさっきコンビニ行ったからとりあえず先に来たんだよ~」



玖麗がコンビニのある、玖麗から見て後ろの方向を指さす。



「そっか、じゃあこちらパンフレットでーす。悠麗の分と二部ね」

「ありがとう!」



あたし達がその場で談笑してたら、芹田くんが来た。



「杏光さん、そろそろ交代しますよ~」

「お、ありがとう」

「ってあれ?実結(ミユイ)の友達じゃない?玖麗…ちゃんだっけ?」



芹田くんが玖麗に声をかけた。



えっ、知り合い? なんで?



「あ、体育祭のときの!」

「どうも、彼女の実結がお世話になってます!芹田櫂(カイ)です!え、もしかして杏光さんと海琉の幼なじみでいとこっていう…」



えー!



以前、玖麗があたし達の学校の体育祭の『借り人競争』という種目の時に、玖麗が「借りられた」ことがあった。



そのとき、その借りた人の友達が玖麗の学校の子で、最近仲良いって聞いてたけど…。



その借りた人が芹田くんだったってこと?



「すごい偶然!」



芹田くんと玖麗が仲良さそうに喋ってる。



その芹田くんの彼女さんのことで喋ってるからあたしにはよくわからない話だ。



目の前の2人をテントで座りながら見てたら、玖麗たちの後ろの方から悠麗が見えてきた。



と思ったら、何やら険しい顔…?
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