好きの海に溺れそう
なるほど…。



やりたいことも何もわからないあたしとしては、ありがたい申し出かもしれない…。



でも、やりたいこともわからず、何の努力もせずに親の会社にコネで入るってのは甘えすぎじゃない…?



すぐには決められなかった。



「ちょっと…考えさせて」

「おう。どうしても杏光に、ってわけじゃねえし、選択肢の一つとして出してみただけだからあんま気にすんな」



そこに、お母さんが帰ってきた。



小太郎がソファから立ち上がってお母さんから荷物を受け取りに行く。



「おかえり」

「ただいま~。つっかれた~」

「今飯にすっから風呂でも入ってな~」



お母さんが帰りに買い物してきたみたいで、小太郎が冷蔵食品とかを冷蔵庫に入れてる。



「俺も手伝うよ~」

「あ、海琉くん来てたのね。今日うちでごはん食べてく?」

「じゃあそうしようかな」



今日も倉科家と海琉は仲良しだ。



冷蔵庫にしまい終わった小太郎は、写真も片付けて部屋に持って行ってしまった。



将来、かあ…。



そして、その写真が妙にあたしに印象を残したまま、その日は海琉とお母さんと小太郎と四人でご飯を食べ、日付が変わる少し前に帰ってきた悠麗にデートがどうだったか聞く前に眠った。

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