好きの海に溺れそう
「悠麗遊ぼ~」

「海琉暇そうだな」

「うん…まあね、杏光忙しそうだから」

「お前ら家も隣で毎日毎日会ってて嫌になんねえの?」

「あんまそう思ったことはないかな…。今ほどじゃないけど、付き合う前からこんな感じだし」



そっか、と言った悠麗は神妙な面持ちでベッドに寝転んでる。



悠麗がこんな顔するなんて珍しい。



「俺もちょうど海琉に話あって」

「あ、そうなの? どうしたの?」

「いや…相談、あるんだけど…」



あ、玖麗のこと…?



悠麗はベッドの上で横になってたところを起き上がってベッドに腰掛けた。



「なに?」

「…海琉さ、杏光に好きだって言われたとき、どう思った?」

「うーん…。そうだな、戸惑ったし、何言ってんの杏光って思ったかな」



今は杏光のこと恋愛って意味でも本当に大好きだけど、当時は恋愛対象として全く見てなかったから、正直これからどうしようって気持ちが強かった…。



それをそのまま悠麗に伝えた。



俺の当時の気持ちと悠麗の気持ち、全く同じではないけど、似てる部分はたくさんあると思う。



「やっぱそうだよな…。俺も同じ…」

「うん。それに、自分の中で杏光に対して好きって感情があることに気がついたとき、意地張ってなかなかそれ、認められなかった」



杏光がいつもと違うことが気になって仕方なくて、幼なじみとして何でも知ってるはずの杏光から新しい表情をたくさん見て。



そこから気がつけば好きになってたのに、当時の俺は、その感情、認めたくなかった…。
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