好きの海に溺れそう
「悠麗は、いとこだから躊躇してるの?」

「もし、これで俺らが付き合ったとして、何かあって…別れたとしたら、どうしても、親戚で、親の兄弟の子供同士で…。避けることはできないわけじゃん」

「それは…そうだね」

「簡単には…答え、出せねえよ…」



俺と杏光、悠麗と玖麗の決定的な違いは、近しい親戚だってこと…。



こんなこと考えたくないけど、もし俺と杏光が別れたとしても、気まずさは残るけどどんな別れ方をしたとしても致命的なことにはきっとならない。



でも、悠麗と玖麗の場合は …。



身内は何があっても基本的には身内なのに、恋人はダメになったらおしまいだもんね…。



「でもね、悠麗」



悠麗は大事なこと、忘れてる。



「悩むってことは、そんなリスクを背負っても玖麗と一緒にいたい可能性があるってことだよね?」

「…」

「それに、玖麗は、悠麗よりもずっとずっとその葛藤を抱えてきたんじゃないかな」



玖麗はずっと、悠麗のことが本当に好きなはずなのに、それをひた隠しにしてきた。



それを今こうやって気持ちをぶつけてるのは、その覚悟を持ってるってこと。



玖麗は、そのリスクがあっても悠麗と恋人になりたいと思ってる。



「悠麗、俺が杏光に告白されたって相談したとき、『杏光も覚悟を持って告白した』って言ったよね」

「…」

「それと同じ言葉を悠麗にも返すよ」



俺は悠麗にその言葉で気づかされたもん。
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