好きの海に溺れそう
玄関を見ると、小太郎くんと杏光、それから何人かの若めの男女と、玖麗が入ってきた。



もしかして、会社の人たち?



「あ、小太郎さんの息子さんですか?」

「あっちのデカいのが俺の息子で、その隣の可愛い顔してんのが、まあ息子みたいなもんだけど隣の家のガキ」



小太郎くんに紹介されて「こんにちは-」と挨拶した。



悠麗もぺこっとお辞儀。



どっちかっていうと、なんで玖麗がいるのか気になってるっぽい。



「あたしの彼氏だよ」



杏光が説明した。



「杏光ちゃんの! へ~!」



ニヤニヤしながら興味深そうに俺のことをジロジロ見てくる皆様…。



俺はどうしていいかわからず、とりあえず笑ってごまかす。



「こいつら今日うちで飯食ってくけど海琉もついでに食ってけよ」

「あ、いいの? じゃあそうするー」



とりあえずみんなを家に上げた。



「なんで玖麗いんの?」



悠麗が小太郎くんに聞いた。



「あー、帰ってたらたまたま会ったんだよ。ほら、この前俺の会社のやつが玖麗気に入ってるって言ったじゃん?あいつなんだけど、だから連れてきた」



小太郎くんがそう言って他の人と楽しそうに喋ってる若い男の人を指さした。



黒い短髪で背は普通。



優しそうな顔で、すごい良い人っぽい雰囲気。



ちらっと悠麗を見ると、ちょっとむすっとしてた。



杏香さんが用意して、俺と悠麗がちょっと手伝ったご飯が食卓に並ぶ。
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