好きの海に溺れそう
「あ、あたしそろそろ帰らなきゃ」

「送ってく」



悠麗が言った。



「んー? いいよー、今日は大丈夫」

「なんで? いつも普通に送ってんのに…」

「うーん…。いつもだから悪いし…」



これ、多分わざと悠麗と距離開けようとしてるんだろうな…。



それぞれ、抱えてる想いがある…。



「危ねえから。送ってく」



結局、半ば強引に悠麗が玖麗を送っていった。



「あの2人、どうなるかね~」



誰もいなくなったリビングで、杏光が俺を後ろから抱きしめた。



手を絡めてつなぐ。



「悠麗もだけど、海琉、今日嫉妬してたでしょ?」

「…」



答えるかわりに、杏光の頭を撫でた。



笑顔になる杏光。



「間宮くん以外みんな彼女いるよ」



そういう問題じゃないんだけどね…。



好きだと、杏光の周りにいる男の人みんな気になっちゃうみたい。



でも、杏光は「彼女の余裕」って言ってあんまり嫉妬とかしないから、ちょっと寂しい…。



俺はそんな余裕ないよ~…。



「杏光も嫉妬してよ…」

「あたし? うーん…」
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