好きの海に溺れそう
これ、喧嘩…?



お互い黙ってしまった。



黙ったまま映画館に着く。



狭い折りたたみ傘の中だから、当たり前だけど濡れてる。



海琉が、タオルであたしの濡れた髪の毛を拭いてくれた。



「ん、ありがと…」



そう言ったらにこっと笑った。



それから2人で仲良く映画を見て家に帰った。



帰ったら、玖麗から着信があった。



玖麗は最近、悠麗と意図的に距離を開けてるみたいだ。



あんまり距離を開けるのも不自然だから朝とかは一緒に行くけど、不必要に悠麗に会わないようにしてるみたい。



でも、急に電話なんてどうしたんだろう。



《今大丈夫?》

「大丈夫だよ~。どうした?」

《なんか…間宮さんに、デート…誘われて…》

「まじで!?」



話を聞くと、あれ以来間宮くんと玖麗はちょいちょいやりとりしてたらしい。



それで、玖麗が、最近やってる美術展に興味があるって話の流れで言ったら、一緒に行こうって誘われたらしく…。



間宮くん良い人だから、玖麗が悠麗をここまで好きじゃなかったら勧めちゃってるところだけどな…。



悠麗、そろそろあんた何かしないとまずいんじゃないの?



逆に、悠麗に動く気がないんだったら、玖麗のためにもあたしは間宮くんの方に行って欲しい。
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