好きの海に溺れそう
心配しつつ、花火大会の会場に向かった。



一応雨は降ってないけど、嫌な雲…。



でも、屋台は普通に並んでて、杏光と食べ歩きしたりした。



綿飴を持ちながら歩いてる杏光が可愛すぎる。



絡めて繋いでる手をぎゅっと握った。



不思議そうに俺を見てへらっと笑う杏光…。



「わたあめ、食べる?」

「じゃあちょっとだけ」



一口もらったわたあめは、口の中で一瞬で溶けた。



甘くておいしい。



「あっ海琉、金魚すくいやろ!」

「え~金魚かわいそうじゃん…」

「確かに…。じゃあスーパーボールすくい」



俺の腕を組みながら、杏光が金魚すくいの屋台から離れて歩き出した。



楽しそうだななんて思って杏光を見てたら、急に男の人の声がした。



「杏光…」

「えっ? …夏樹」



声の方を見ると、高校生っぽい男の人。



イケメンだ…。



誰…?



「あっ、え…彼氏?」

「あ、うん…」



何この空気…。



あっ、ちょっと待って、見覚えがあるかも…。



去年杏光が付き合ってた人…?
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