好きの海に溺れそう
「杏光ちゃん熱出しちゃったの? わかった、了解」



とりあえず、今できるのはこれだけだ。



学校に着いたら一限が始まってた。



遅れて教室に入ってくる俺を一斉にみんなが見る。



どうもどうも…。



一限は、担任の先生の授業で英語。



「How is your girlfriend?」



先生が俺にそう言うと、クラスで笑いが起こった。



ガールフレンドって単語が聞こえたけど…。



先生みんなに言ったの!?



恥ずかしいからやめてよ…。



「Ok…」



それだけ言ってうつむき気味に席に着いた。



全然オーケーじゃないし…。



先生に隠れながら、杏香さんと小太郎くんに杏光が熱出て家で1人っていうことを連絡してから、杏光に『大丈夫?』とメッセージを送った。



子供じゃないし心配することないんだけどやっぱ心配…。



一限が終わっても杏光から返事は来ない。



多分寝てるんだと思うけど。



「杏光先輩大丈夫か?」



新太に声をかけられた。



「あっ…うん、多分」

「彼女のために看病して遅刻すんの、愛だな」



熱出てるのにほっとけるわけないじゃん。



結局、杏光から返事があったのは昼過ぎだった。
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