好きの海に溺れそう
そうですか…。



帰るときも1人。



海琉は今ごろクラスの女子とかと観光してるんだろうか…。



あたしも班行動は男子がいたからあんまり言えないけど、嫌なもんは嫌だよね。



あたしの知らない女ってのがさらに気になる!!



モヤモヤした気持ちを抱えながら電車に乗って小太郎の会社へ行った。



今日は打ち合わせの日。



実は開催まであと2ヶ月くらいしかないから打ち合わせも前よりずっと多い。



「こんにちはー」

「お、杏光ちゃんおかえり」



社員のお姉さんと挨拶する。



ここは、自由な雰囲気の職場でオフィスもおしゃれだしみんなカジュアルな私服で出社してる。



あたしも来年にはここに毎日通うと思うと不思議な感じ。



小太郎はオフィスの真ん中においてあるソファに座ってパソコン片手に何かの資料とにらめっこしてた。



「来たよ」



背後から声をかけると、視線をこっちに移した。



「お、来たのか。んじゃあちょっと北田と打ち合わせしといて。俺もあとで行くから」

「はーい」



北田さんは、30代なかばの男の人。



今回の写真展のメインの担当者で、細かいことを色々とやってくれる。



本当はそういうのって本来下っ端のあたしがやることだよね…。



でも北田さんは「今回の発案者は杏光さんなんだから、まずは企画してみることが大事だよ。下っ端仕事は入社してからね」と言ってくれる。
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