好きの海に溺れそう
《うるさいうるさい。邪魔しないで》



海琉の鬱陶しそうな声。



海琉って意外と毒舌なとこあるよね。



《杏光先輩こんばんはー》



電話の向こうから男子複数人の声が聞こえた。



「あんた達よく邪魔してくれたね」



あたしがそう言ったらなぜかより盛り上がった男子達。



そういや去年も修学旅行先であたしが海琉と電話してたらクラスの女子達も騒いでたな…。



「あと10分で海琉の誕生日だからみんな祝ってあげてね」

《バッチリっす!》

「分かったら海琉に変わって」

《あ、杏光先輩最後にこれだけ!海琉この旅行中めちゃくちゃのろけてましたよ》



のろけてた!?



あの海琉が!?



《のろけてないから…》



海琉の声が聞こえてくる。



「なになに? 詳しく」

《こいつ、事あるごとに遠回しに杏光先輩に関係ある話するんすよ》

「まじ?」

《まじまじ。さっきも飯食いながら「これ去年も同じメニューだったのかな」とか言って…。バレバレなんすよね》



なにそれ、めちゃくちゃ可愛いじゃん…。



知ってたけどあたしのこと本当大好きだよね。
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