好きの海に溺れそう
そんな調子で無心で作ってたら、いつの間にか3人家族では食べ切れないくらいの品数になってしまってた。



杏光が何時に帰ってくるかわからないけど杏光食べるかな。



まな板を洗っていたら杏光から電話がかかってきた。



《あっ海琉? 今終わったからすぐ帰るね!!》

「おつかれー。気をつけてね。ごはんうちで用意してるよ」

《ありがと!》



思ってたより早かったな~。



家族でごはんを食べてたら杏光が「ただいまー!」と勢いよく入ってきた。



「杏光おかえりー」

「杏光ちゃんおかえり~」



杏光が手を洗ってから俺の隣に座った。



キラキラした目で食卓を眺める。



「すご! めっちゃ豪華」

「海琉が全部作ってくれたの」

「あたしのダーリン天才?」



普通に照れるけど嬉しい。



丁寧に手を合わせて、「いただきます」と食べ始める杏光。



そういえば杏光の分のチキンないな…。



まだ手をつけてないチキンの乗ったお皿を杏光の前に置いてあげた。



「え? いいよ、あたしの分元々用意してなかったでしょ?」

「杏光に食べてほしいからいいの」

「あたしも海琉に食べてほしいから半分こしよ!」



杏光がそう言ってナイフとフォークで器用にチキンを半分にして俺のお皿に乗せてくれた。
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