好きの海に溺れそう
「?」



杏光がぱっと離れてエプロンを外した。



「すぐ戻ってくるからちょっと待ってて」

「うん…?」



杏光が小走りで家を出て行った。



何か取りに行ったみたいだ。



じゃあ俺はその間ケーキの準備しよう。



お湯を沸かして、アールグレイをティーポットに入れる。



杏光が戻ってきたのは、沸いたお湯をティーポットに入れて、部屋で紅茶を蒸らしている時だった。



「えっ海琉これなに!?」



キッチンから杏光の声が聞こえる。



ケーキ見たのかな?



立ち上がってキッチンに行った。



そこで見た杏光にぎょっとする俺…。



何その格好…。



ミニスカのサンタさんが冷蔵庫をのぞき込んでる。



杏光!?



「お詫びの品としてケーキ買ってきたんだけど、もしかして海琉も用意してた?」

「う…ん。それより、その格好何…?」

「へへ~。ミニスカサンタのコスプレ。帰り道お店で安売りしてたから買ってきたの」



いやいや…。



可愛いけど…。



っていうか、かなり可愛いけど…。



「ご近所さん外歩いてないかヒヤヒヤしたよ~」

「綱渡りだね」

「どう? 文化祭の魔法少女は似合わなかったけどこれは可愛いでしょ」

「可愛い…」
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