好きの海に溺れそう
~杏光~

今日は大晦日。



あたしの家に玖麗の家族と海琉の家族で集まってる。



大人たちは飲酒祭りのどんちゃん騒ぎ…。



あたし達はそんな大人達を横目に年末の歌番組を見てる。



悠麗がべたべたと玖麗の髪の毛を撫でたり頭にキスしたりしてる…。



よく親の前でやるよねと思ったけど、あたしも手を繋ぎながら海琉の膝に寝転んでるから同じようなもんだ。



血は争えないね…。



番組が終わったので、4人で二年参りに行くことになった。



コートを家に取りに行く海琉について行った。



鍵を開け、暗い海琉の家の電気をつける。



さっきまでの喧噪が嘘のように静かで、かえって耳鳴りがする。



「海琉」



クローゼットからコートを出す海琉に後ろから声をかけた。



「んー?」



振り向いた海琉に一歩近づいた。



そのまま腕を海琉の首に回す。



どちらかともなくキスをした。



濃厚なのを数秒。



満足したあたしは、恥ずかしそうな海琉の目をじっと見てから微笑んで身体を離した。



幸せ。



2人であたしの家に戻って「ごめんお待たせ-」と悠麗たちに声をかけた。



歩いて15分くらいのところにある神社。



境内に向かって人の列が並んでる。
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