好きの海に溺れそう
メインは小太郎の会社に所属してるプロのフォトグラファーさんが撮った写真の展示。



そこに、同じ会場内のブースであたしが企画したアマチュアが撮った写真を展示する。



実は、あたしが撮ったのも1枚入れてもらったんだ。



海琉がくれた一眼で最初に撮った海琉の写真。



写真展全体のテーマは『春夏秋冬』で、フォトグラファーさんが感じる『春夏秋
冬』を写真で自由に表現してもらって、『春』『夏』『秋』『冬』ブースそれぞれに分けて展示する。



アマチュアのブースは春夏秋冬ではなく、『愛』がテーマ。



抽象的だけど表現方法を考えないと伝わらないようなテーマの方がアマチュアにはいいだろっていう小太郎の案からあたしが考えた。



愛って人それぞれ色んな形があるから、それをどれだけ表現できるかっていうのがカメラマンの腕の見せ所だよね。



今回展示するアマチュアの写真、プロのような完成度には及ばないけど、どれも表現が個性的で面白いから多くの人に見て欲しい。



今日のスタッフとカメラマンさんが続々と会場に集まってきた。



開場まであと30分。



いつの間にか来てた小太郎が、みんなの中心に立って挨拶をはじめた。



「去年色々な方にお世話になり、念願だった会社を設立することができました。

まだ設立から1年経っていないにも関わらず、みなさんのご協力により、こうして写真展を開催することができ、心から感謝しています。

来年もまたこのように活躍できるようこれからも頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします」



拍手が起こる。



次に、北田さんが前に出て、同じように軽く挨拶をした。



「今回は、本来予定していなかった、アマチュア写真家のブースも設置しています。企画者の暮名杏光さんからも、何かご挨拶お願いします」



北田さんが急にあたしの名前を出した。
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