好きの海に溺れそう
「でもこれ、すごく良い写真じゃない?」

「ありがと玖麗~。あたしもそう思う~」



この写真は、我ながら自信作だ。



生活感の出し方と彼女目線でのアングルが上手い具合にバランスを取ってて味の出た良い写真になったんじゃないかなって思う。



会社のプロにもちょっと褒められたし!



何より『愛』ってテーマにぴったりだよね。



「これは?」



海琉が話題を逸らすように、違う写真に目を向けた。



睡蓮がたくさん浮かんだ池の上に、モネの睡蓮の絵はがきが浮かべてある写真。



タイトルはそのまま『睡蓮』だ。



この写真は、玖麗の事を気に入ってた間宮くんが撮った写真。



「うわ~。これ、構図がすごく良いね。光の当たり方も全体的に絵みたいですごく綺麗」



玖麗がキラキラした目で間宮くんの写真をまじまじと見た。



悠麗がむすっとして、玖麗の横に立って何気なく手を取る。



そんな様子をあたしと海琉はにやにやと見てた。



そこに、今日来ている間宮くんが近づいてきた。



「玖麗さん、お久しぶりです」



笑顔で玖麗に挨拶する間宮くん。



そこで、悠麗が握る手に目が止まって一瞬動きが止まる。



かわいそうに…。



悠麗は、「玖麗に何か?」とでも言いたげにちょっと身を乗り出してる。



玖麗は、手繋いでるのを見られて恥ずかしかったのか手をほどいた。



悠麗は「えっ…」って反応。



悠麗もかわいそうに…。



おもしろいけど。
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