好きの海に溺れそう
大人へと
~海琉~

写真展最終日はみんなで打ち上げだった。



俺や悠麗、玖麗も打ち上げに招待してくれて、始終ご機嫌そうな杏光と一緒に打ち上げに参加した。



帰り道、お酒を飲んだわけでもないのにちょっとフラフラしながら歩く杏光。



みんなから少し距離を取ったところを2人で手を繋いで並んで歩く。



さっきから杏光がチラチラとこっちを見てる。



なんか言いたそうにしてるけど、俺が杏光を見ると、にこっと笑われて、その繰り返し。



どうしたんだろ…。



なんだか妙に心がざわざわする。



それがなんなのか検討もつかないけど、嫌な予感…。



知るのが怖くて、でも気になって、駅の手前にある公園の前でぐっと立ち止まった。



「海琉…?」



不思議そうにこっちを見る杏光。



「ちょっと入ろ」

「えっ? ちょ、どうしたの?」



杏光の手を少し強めに引いて、公園の中に入った。



小太郎くんにあとで連絡を入れておけばいい。



自販機でおしるこを買って、杏光に渡してからベンチに腰掛けた。



「杏光、なんか俺に言おうとしてる」

「…」

「後ろめたいこと?」

「……やっぱり、海琉にはすぐバレる…」

「…」



後ろめたいことなんだ…。
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