好きの海に溺れそう
わかんないよ…。



『俺と離れてもいいの?』なんて子供っぽいことは言いたくない。



どんどん大人になっていく杏光と、自分の子供っぽさの差が情けなくて…。



杏光は、真剣な顔のまま。



「ちゃんと、一人で生きてみたいの」

「…」

「だけどね」



杏光が俺の顔を両手で包んだ。



少し切なそうに笑う杏光。



「あたし、海琉のことが一番大事。海琉と離れたくないってのも、本当なの…」



そう言って俺のことを強く抱きしめた。



杏光の葛藤が伝わってくる。



「勝手言ってごめん…。でも…どうしようね…?」



抱きしめたまま、杏光がつぶやいた。



俺は…行ってほしくない。



ずっと杏光と当たり前に会える距離にいたい。



でも、杏光のことを応援したいのも事実だ…。



「杏光」



俺の言葉に、杏光が体を話した。



少し目がうるんでる。



もう1回、今度は俺から優しく抱きしめて、キスした。



「杏光、大好き」

「あたしも…」

「行ってほしくないよ。ずっとそばにいてほしい」

「うん…。あたしも、ずっとそばにいたい…」
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