好きの海に溺れそう
俺がいつも巻いてあげてたマフラー。



綺麗に杏光の首に巻かれてる。



杏光が、本当に…大人になってしまった…。



どんどん、俺を置いていくの…?



杏光の成長を100%純粋な気持ちで喜べないのは、俺がまだ子供だからなのかな。



気取られたくなくて、いつものように杏光と、2人での最後の登校をした。



卒業式は、滞りなく終了。



杏光が卒業証書をもらうタイミングでちょっと泣いたのは秘密。



帰りのホームルームを済ませて、卒業生たちが写真を撮るために集まってる中庭に行った。



中庭にはすごい人。



卒業生だけじゃなくて、先輩と最後に挨拶しようっていう1、2年生もいるし、保護者もいる。



でも、杏光が見当たらない…。



どこだろ…。



電話かけても出ないし…。



杏光と仲の良い日夏先輩がいたので聞いてみた。



「あ~…なんかさっきクラスの男子に呼ばれてどっか行ってたよ」



クラスの男子…?



何それ、めっちゃ嫌なんですが。



てかそれ、絶対告白だよね。



悶々とした気持ちを抱えてたら後ろから「海琉!」と背中を叩かれた。



杏光だ。



「遅いよもう…」

「ごめん、なんか…告られてた…?」



やっぱり…。
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