好きの海に溺れそう
鍵とお財布を持って家を出た。



エレベーターまで行くと、ちょうどもう1人待ってる。



隣の家に住んでる多分大学生の男の人。



名前は確か…瀬野さん?



別にめちゃくちゃイケメンって感じではないけど、モテそうな見た目をしてる。



話したことはないので、ぺこっとお辞儀だけした。



向こうも、スマホをいじりながらちょっとこっちを見て同じように一瞬お辞儀。



無言で一緒にエレベーターに乗り込んだ。



マンションから出て、スーパーの方向へ。



って、瀬野さんも同じ方向…。



結局、目的地も一緒だった。



気まずっ…。



瀬野さんから距離を取って買い物をした。



一通り買ってからレジに並ぶ。



ってあれ…。



前に並んでるの瀬野さんじゃん…。



さすがに気まずいので、声をかけてみることにした。



「今日はよく会いますね~」

「あ、そうですね~」

「もしかして今日カレーですか? うちもです」

「カレー楽でいいですよね、一回作ればしばらく持つし」



初めて話したけど良い人だ。



お会計をしてから、流れで一緒に帰った。



話してみると、瀬野さん、改め瀬野くんはどうやら同い年らしい。



実家は地方にあって、一人暮らしをして大学に通ってるみたいだ。
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