好きの海に溺れそう
…?



なんだろう…。



杏光も不思議そうな顔。



「杏光、お前新聞から取材受けることになると思う」



えっ?



何それ、どういうこと…?



「お前の企画してるアマチュア向けの写真展が好評で、地方紙だけど、ぜひ取材受けさせてくれって今日連絡あったんだよ」

「まじ…?」

「まじまじ。あとで返事すっから考えとけよ~」



そう言って小太郎くんは家に入った。



俺は、無意識に杏光の手を寄せた。



心がザワザワする…。



杏光の仕事の成功はもちろん嬉しい。



だけど…。



杏光が遠くに行ってしまう。



別の世界に行ってしまう。



なぜだかそんな気がして、素直に喜ぶことができなかった。
< 314 / 350 >

この作品をシェア

pagetop