好きの海に溺れそう
先に起きていた杏光は俺が昨日部屋着にしてた白地のTシャツを1枚だけ着て立ってコーヒーを飲んでる。



Tシャツから伸びた足が細長くて綺麗だ。



でも…。



「…せめて下はこうよ」

「なんで?」

「見えてるよ…色々」



男物のTシャツとはいえ杏光は背が高いから全然隠しきれてない…。



透けてるし…。



まあ今更は今更だけど。



杏光がニヤニヤしながらベッドで横になってる俺の方に近づいてきた。



脇の台にコーヒーのカップを置く。



そのまま俺の上の布団をよけて俺にまたがった。



そしてコーヒー味のキス…。



昨日もしたのにそんな朝から…。



でもあらがえない…。



「やばっ、ゴミ出さなきゃ」



終わってから時計を見た杏光が慌てた。



今週のゴミ出し当番は杏光だ。



「え、もうそんな時間? カン・ビンだよね」

「忘れてた~…。ねえごめん、悪いんだけどお願いしていい? あたし仕事ちょっと残ってて午前中のうちに終わらせたいんだよね…」

「全然いいけど土曜日まで家で仕事させるの、小太郎くんちょっと悪徳社長じゃない?」

「いや~…。本当は昨日終わらせるはずだったんだけど早く帰りたくて残業せずにこっそり持って帰ったんだよね…」



なるほど…。
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