好きの海に溺れそう
瀬野くんの好きなその子は、涼夏(スズカ)って名前らしい。



涼夏ちゃんは、あたしの一つ上だった。



瀬野くんのバイト先の先輩なんだそうだ。



クールな印象だったけど、話してみると意外と話しやすい。



クールというよりは少し人見知りみたいだ。



「杏光ちゃんと海琉くん、話したことないけどよく見るから親近感あったんだよね。話す機会あって嬉しいな」

「あたしもすごく親近感ありました!」

「あたし、魚が好きだから水族館楽しみ」

「なんの魚好きなんですか?」

「うーん…金目鯛かな?」



金目鯛…。



水族館にいるかな…。



それは食用では…?



少し天然なのかな…。



困惑しつつ水族館に着いた。



「うわ~! イワシだー!」



涼夏ちゃんがはしゃいでる。



「あ! タコ! でっか~!」



やっぱりさっきから見てるのは食べられる魚ばっかりだ。



「ほら、瀬野、見て見て」

「あ~? うおっすげ」



でも瀬野くんと涼夏ちゃん、いい雰囲気。



肩をくっつけてイワシの大群を指さして眺めてる。
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