好きの海に溺れそう
出ない…。



出た!



「杏光、今どこ?大丈夫?」

《あ…杏光さんの彼氏さんですか?》



えっ、男の人の声だけど…。



誰!? なに!?



《杏光さんが酔い潰れてしまって…》

「あ~…。なるほど…。迎えに行きます、すみません…」



もう~…。



男の人と飲んでるのは知ってるけどこうやって電話に出られると全くいい気はしないよね…。



お財布と鍵だけ持って家を出た。



車を出す。



杏光と一緒に買った新車だ。



電話で言われた居酒屋さんに車を止めてお店の中に入った。



いた…。



男の人2人、女の人1人と一緒に杏光が楽しそうにお酒を飲んでた。



若めの男の人と楽しそうに喋ってる…。



近づいて、ぐいっと杏光の腕を持った。



びっくりした顔の杏光が、俺の顔を見てめちゃくちゃ笑顔になった。



「海琉だあ~!!」



そう言って俺の腕を逆に強引に引っ張って隣の椅子に俺を座らせた。



なんでこんな酔ってるの!?



「ごめんね~、海琉くん、呼んじゃって…」



何回か俺も会ったことがある、杏光の先輩が申し訳なさそうに俺に言った。
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