好きの海に溺れそう

海琉のお父さんの寝室へ向かう。



一応ノック。



反応がないから勝手に開けることにした。



「霜さーん！ 起きてー！！」



大声で海琉のお父さんである霜さんを起こす。



「んー…んん…」



起きない…。



こうなりゃ奥の手だ。



「起きないと、霜さんの秘密をバラしちゃうよ」



耳元でささやく。



「それは困る！」



霜さんはがばっと起き上がった。



霜さん、一体どんな秘密を抱えてるんだろう…。



「…」

「おはよう」

「なんで杏光ちゃんが…」

「ちょっと色々あって泊めさせてもらってるの。ごはんなので起きてね？」

「そっか…。着替えたら行くね？ ありがとう」



さて、次は海琉。



海琉の部屋にノックは不要。



ドアをいきなり開けて、勝手に入る。



「海琉おはよう！ 起きろ！」



布団をがばっと剥ぐと、「んっ…」と体を縮こめた。



かわいい…。腹立つ！



体をゆすって大声。



「海琉！ 起きないと服脱がすよ！」

「んー…」



体を横にしてた海琉が仰向けになって、ゆっくりと目を開けた。



「あ、杏光…おはよ…」



まだ少し寝ぼけた海琉が、あたしを見て言った。



「着替える…。杏光、それ取って…」

「うん…」