好きの海に溺れそう
「アンリってバイトでどんな感じっすか~?」



そのうちの1人の男の学生さんが、アンリちゃんに覆い被さるように肩を組みながら俺に聞いてきた。



こっちはこっちで酔ってるな…。



「アンリちゃん、よく働いてるし頑張ってるよ」

「やった~! 海琉さんに褒められた!」



アンリちゃんがそう言って両手を突き上げた。



このノリにはついてけないけど…。



「じゃあ、気をつけてね」

「は~い! ありがとうございまーす!」



そう言ってアンリちゃんたちと別れた。



なんか、杏光の腕の力が強くなってる気がする…。



恐る恐る杏光を見たら、頬を膨らませてた。



リスみたいでかわいい。



「アンリっていうの? あたしと名前似てるからあんな優しくするの?」

「似てるって、“アン”の部分だけじゃん…」

「じゃあ海琉は誰にでも優しいんだね~?」

「いやいや、今の普通でしょ」

「あーあ、いつか他の人にホイホイって優しくしてあたしと似た名前の人と結婚しちゃうんだ」



言ってることが支離滅裂だ。



分かりやすいくらい拗ねてて可愛い。



拗ね方がちょっとめんどくさいけど…。



でも嫉妬されるのはいつになっても可愛いし嬉しい。
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