好きの海に溺れそう
~杏光~

「なんか食いてえもんある? なんか買ってこようか?」

「ないよ」

「あっじゃあ、茶入れてやろうか?」

「自分でやるからいい」

「じゃあ他になんか…」

「大丈夫だって!」



現在、実家。



結婚式を明日に控え、あたし達は結婚式前最後ということでそれぞれ家に帰ってる。



って言っても隣同士だけどね。



小太郎がめちゃくちゃそわそわしてる。



小太郎は割といつでも余裕そうだから、なんか意外…。



入籍はとっくにしてるのに、結婚式となるとまた別みたいだ。



「にしても、ちょっと前まで赤ちゃんだった杏光がウェディングドレスなんてびっくり」



お母さんが言った。



小太郎と比べて、お母さんはいつもと変わらない。



「海琉くんだってお腹にいたのにな~」

「胎児の海琉とか超かわいいね」

「雛子さんと仲良しの2人になるねなんて話してたのに、まさか結婚するなんてね」



まあ結婚するなんて昔のあたしが一番思わなかったけどね。



「風呂上がったから入っていいぞ~」



バスタオルで頭を拭きながら、悠麗がリビングに入ってきた。



悠麗は、今も玖麗とラブラブ交際中。
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