好きの海に溺れそう
そして、現在はブックデザイナーとして働いてる。



出版社をやめてフリーライターとして働いてるお母さんが出した本の装丁も、この前担当してた。



玖麗の方はと言うと、なんと大学を休学して一年間留学してから大学院で美学美術史を勉強中でまだ学生。



学芸員として働きたいんだって。



明確に意志を持って勉強していてかっこいい。



一年遠距離だったときの悠麗は痛々しくて見てられなかったけどね。



お風呂から上がって髪の毛を乾かしおわったところで、ちょうど海琉から通知が来た。



『ベランダ集合~』



久しぶりのやつ~!



ワクワクしながらベランダへ。



「夫さん~! 久しぶり~!」

「妻さん~…って、さっきも会ったけどね」



夕方まであたしの家で一緒に過ごしてたから全然久しぶりではない。



でもやっぱり実家でこうやって離れて泊まると、昔のこと思い出すもん。



海琉があたしの左手を取った。



薬指に輝く結婚指輪。



この世で一番キラキラ光ってる。



「明日はついに結婚式ですね?」



あたしが言った。



「やっとだね」

「今の心境は?」

「うーん、既に入籍してるし昨日まで実感なかったんだけど、やっぱ実家泊まったら実感沸いてきたかも」

「あたしも」
< 344 / 350 >

この作品をシェア

pagetop