好きの海に溺れそう
実家はもうあたしの住む家ではないから、泊まるとやっぱり特別な日って意識は働くもの。



家の中もちょっとそわそわしてるし。



「じゃあ明日に備えて寝ますか?」

「寝ましょう!」

「おやすみ~」



ベランダから離れて、自分の部屋のベッドに潜り込んだ。



おやすみ…。



次の日の結婚式は朝からスタート。



めちゃくちゃ時間をかけて選んだウェディングドレスは、上品な質感のAラインドレス。



ノースリーブで、チューブの部分に白い薔薇が一面にあしらわれてる。



スカートの方は、レースは一切無しで、純白のシルクが綺麗だ。



着替えてから海琉のいる控え室に入ったら、タキシードの海琉がいて倒れるかと思った。



海琉がかっこよすぎる…。



高校の文化祭で着てた執事服も最高だったけど、今日は格別キラキラして見える。



夫だから?



そして、そんな風に思ったのはあたしの方だけじゃなかったみたい…。



海琉が、あたしのことをふわっと抱きしめた。



その場にいたお母さんとスタッフの人が顔を見合わせながらニコニコしてる。



「杏光、めちゃくちゃ綺麗…」

「海琉の方こそ、死ぬほどかっこよくて死ぬんじゃないかなって思うよ」

「死んじゃだめ…」



まるでバカップルだ。



でも結婚式なんだもん、世界で一番くらいのバカップルでいたい。
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