好きの海に溺れそう
それからはじまった結婚式。



キリスト教式でもなく、神前式でもなく、自由な形式の人前式だ。



海琉と2人で腕を組んで入場し、うつむきがちに歩く。



ああ…なんだかすごく、幸せだ。



心が厳かで、洗練されて、すべて洗い流されたような気分。



そのとき、視界に拍手をしている玖麗が入った。



隣には、悠麗。



笑顔の玖麗から、心からの祝福の気持ちを感じる。



あたしは、玖麗に視線をやって、にっこりと笑った。



祝ってくれてありがとう。玖麗も幸せになってね。



そんな気持ちを込める。



そこでふと、はっとした。



これ、憶えがある…。



高校生のとき、海琉と鎌倉でデートしたとき、神前式が行われていて…。



そのとき、綺麗な白無垢の素敵な新婦さんがあたしに向かってにっこりと笑ってくれた。



あのときは、素敵だなって思ったあたしの気持ちが伝わって笑顔をくれたと思っていたけど。



それだけじゃない。



祝ってくれた気持ちが嬉しくて、心の底から、今の幸せな気持ちを人にも与えたかった。



あなたも幸せになって。



こんな気持ちだったって、今わかった…。



「夫婦として、笑顔あふれる家庭を築いていくことを誓います」



誓いの言葉と、指輪の交換。



海琉があたしの長いベールを上げた。



誓いのキス…。



こんなに幸せな気持ちでいっぱい…。
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