好きの海に溺れそう
「ちょ…だめだよ? さすがに今日はもう疲れた…」

「でも海琉も脱がないとシワになっちゃうよ~」



言いながら、全部外した。



「ほら、あたしも脱がせて~」

「はーい…」



海琉の指があたしの肌に触れる。



純白のウエディングドレスを、海琉がその手ではがしてく…。



もうだめ。



好きが溢れて好きの海に溺れそうだ。



思わず海琉を全身の力いっぱい抱きしめた。



海琉はびっくりした顔をしてたけど、すぐに優しい顔になる。



「杏光…愛してるよ」



そう言ってからあたしの頬を撫でる。



心の底から好き。



はじめは、ただの幼なじみで。



かわいい弟みたいに思っていた海琉。



それが、ある日を境に男だって意識するようになって。



そんな風に海琉を思ったことなかったから、気になって仕方なくて。



気づいたら好きになってた。



そして、その微妙な変化を、幼なじみだからこそ海琉はすぐに気がついて、あたしのその変化を好きになってくれた。



男だって意識するようになったきっかけは、たまたまふと保健室であたしの頭を撫でた海琉の手だったけど。



だけど、それがなくてもきっと遅かれ早かれ、そういう日は来てたはず。



だから、あたしと海琉が結ばれるのは必然だ。



それが今日、この日、こうやって幸せの形になった。



海琉はあたしの人生でたった一人の最愛の人。



だってこんなにあたしの心深くに住んでいるのは海琉だけだもん。



海琉。



これからも、あたしを好きの海に溺れさせてね?



一生、あなたの海の中。







--end--
< 349 / 350 >

この作品をシェア

pagetop